ロンドン到着
朝6:30にロンドンガトウィック空港へ到着した。ロンドンは雨。
ここからNationalExpressバスでVictoria Coach Stationへ
、が予約しておいた時間のバスは来なかった。
それでもどうにか30分後の次のバスに乗れた。
列に並んでいた僕たちのチケットを見て、運転手は
「このバスはもう出たから脇によけてくれ」
と言ったがそんなはずはない。予定の15分前から待っていたのだから。
来なかった旨を伝えるとあっさりと乗せてくれた。
ここらへんで日本を出たのだという実感が湧いて来た。
日本では予約のバスが来ないことはまず無い。
そして日常生活でなにかクレームをつけたり、主張したり、交渉したり、こういったこともない。
それが一旦海外にでると、そこでは普通の生活でも、ガンガンと自分の立場や意見を主張しなければならないのだ。主張力や交渉力がものをいう。
非常に疲れることが多いが、慣れてくると「言いたいことは言える」という快感、
つまり日本で身にまとわりつけてきた
「協調性」、「おとなしいことが良し」、「沈黙は金」
といった殻を一つずつ破るという快感も味わえる。
まあとりあえず第一ハプニングではあった。
あ、そういえばもう一個すでに起こっていた。
上海空港のエスカレーターで、上からスーツケースが転がり落ちて来たのだ。
そして僕より上に立っていたチャングに当たってしまった。
かわいそうに、だが幸い大事ではなかった。
VictoriaCoachStationで慌ててサンドイッチとコーヒーを買い込み、Birmingham行きのバスに乗り込んだ。3時間の乗車でさすがに疲れた。
Birminghamからさらに電車で30分、StourbridgeJunction駅へ。
公共交通機関はここまで。非常に長い行程だった。
この駅にAirbnbのホストのビルが来てくれていて、僕らをピックアップして家に連れて行ってくれた。
ビルはおだやかなおじいさんで、イングランド南海岸の出身。
片耳が聴こえず、もう片方も遠い。
英語の不自由な僕らとしてはコミュニケーションに難ありだった。
特に女性の声の周波数が聴き取りづらいらしく、チャングは苦労していた。
家に着くと、人懐こい黒犬が迎えてくれた。ゾーウィという。
あまり聞き慣れない名前だ。
首に「ZOE」と書かれた札を下げていた。
後に帰宅したビルの奥さんのジェラディーンは、ふっくらしたアイルランド女性。
すごいスピードのアイリッシュ英語で話しだすと止まらない。
20〜30分は平気でしゃべる。
そして話終わるといつも、口にチャックのジェスチャーで
「また話しすぎたわ」と。
僕らは彼らの初めてのAirbnbゲストだったようだ。
驚いたことに、ビルはシュタイナー学校の先生だったそうで、ジェラディーンはオイリュトミーをしているという、シュタイナーに造詣の深い夫婦だった。
僕らの旅の目的をきいて、向こうも驚いていた。つながるときはつながるものだ。
二人の娘のレベッカがAirbnbで部屋を貸し始めたそうだが、当の本人はこの家にいない。
夏はカイトサーフィンの、冬はカナダでスキーのインストラクターをしていて、実家には一年のうち2〜3ヶ月しかいないという。
カナダの物価が高すぎて、生活費に困って部屋を貸すことにしたのだそうだ。
ジェラディーンは、「本当にお金に困るとやっと、自分が何を持っているのかを本気で考えるものよね」と言っていた。
レベッカには実家の部屋があったのだ。
この家は22時消灯で寝室がある2階のブレーカー自体を切るというしくみ。
安眠のためらしい。旅人の僕らには不便ではあったが、悪くはない。
夜にチャングが、明日から訪問するSunfieldのエドに電話してくれ、
彼が明日迎えに来てくれることになった。
さてどんな所なんだろう?