サンフィールド3日目 羊の毛刈り
3月6日 水曜
朝食はゆうべの残りのスープとパン。
8:20にエドが迎えに来た。
まずきこりに話をしに林を歩く。
ここサンフィールドはゆるやかな斜面の下側に畑があり、
牧草地を挟んで上の方は林になっている。
歩きながらエドが森について色々話をしてくれた。
この土地を形成する3つの地層のこと、
1世紀以上前に英国が世界中から集めた珍しい木々のこと、
学校の木々は4年ごとに診断を受け、弱ったものは切り倒されること、
でも虫や鳥のために完全には切り倒さない木もあること
雨が降ったり止んだりしていたので、その後はヤギ小屋で作業。
もともとここにあった鉄柵を羊小屋をつくるために移動したので、
木の柵の隙間からヤギが逃げ出さないようにワイヤーを張るのだ。
昼食は豆カレーだった。インドでダールと呼ばれるものに近くおいしかった。
イギリスはインドを植民地としていたため、カレー料理の質は高いらしい。
ここの学校食堂の料理は総じておいしかった。
イギリスというと「食事がまずい」という評判があるが、
「どこの地方にも家庭料理があって、それは当たり前だけどおいしいものだよ。ただ18世紀以後、産業革命で人々が都市に集まり、大量に作られたおんなじものを食べるようになった。食が土地から離れてしまったんだ」
午後は羊を牧場から小屋へ移した。出産にむけて。
羊は臆病なのでトレイラーに入れるのが大変だった。
僕とチャングで牧場の上の方から、5匹の羊をゆっくりと追ってゆく。
下ではエドが餌のオーツ麦を持って待ち構えていて、
ゆっくりとトレイラーの方へ誘導していくのだ。
でも少しでも彼女らを驚かせたり、警戒させたりしてしまうと、
散り散りになってやり直しである。
僕は手を叩くという間違いを犯してしまい、驚かせてしまった。
最近ヤギの世話をすることが多かったので、それと同じ感覚だったのだが、
ヤギと羊は性質がまったく違う。
ヤギは好奇心が強くて御し易いが、羊はとにかく驚かせてはいけないのだ。
昔は動物に触れ合う機会が少なかったので、性格の大した違いなど知らなかったが全く違う。
馬と牛も。ヤギと羊も。
さてどうにか羊の移動に成功したので、次は汚くなったお尻の毛刈りをやった。
やったと言っても実際にハサミを持って刈ったのはエドで、僕とチャングは抑える係だ。これがまた大変。
お尻は臭いし、羊の力は強い。
懸命に逃げようとする彼女らを1匹1匹捕まえては抑えたので、
僕らもすごい臭いになってしまった。
毛刈りはshearingというが、この名人は1日に何百頭もやるというのだから恐れ入る。
とにかく大変だった。
夕食は人参チャーハンと日本から持って来たインスタントスープ。
エドが前の日、ディナーに招待してくれるようなことを言っていたが、なかった。
なんかイギリス人の社交辞令のような感じもして、チャングは彼への不信感が募っていたよう。
とにかく明日がサンフィールド最終日だ。