ゲストではない?
「どこに泊まっても良いよ」
そう言ってホストのニラブに見せられた部屋はどれも汚かった。
前の人が使ったシーツまでそのまま。
洗面台には汚れた食器、ドアの外には犬のフン、ネズミの死骸。
普通ゲストを迎える側は部屋の掃除ぐらいしとくもんでしょ。
こんな僕の常識なんてここシチリアでは通用しない。
いや常識なんてだいたい一方的なものだ。
ウーファーなんてゲストですらないかもしれない。
自分の部屋くらい自分で用意するのが当たり前と考えることもできる。
とりあえずホストの住む母屋とは別棟の、
トイレ付きの部屋を選んだ。
2時間くらい掃除をすればそれなりに綺麗になった。
もとの造りはなかなかオシャレ。
天井は竹が並べてあり、鎧戸は木製である。