農的ジプシー

農的ジプシー生活のあれこれ

春のシチリア、オレンジ畑

ヨーロッパの春は本当に気持ちがよい。シチリアの春もまた気持ち良かった。

朝は、オレンジの収穫をしていた。フィリッポ、カタリーナ、ファビオ、チャングの4人と。
フィリッポはずんぐりして浅黒い、まさにシチリアの農民といった感じの男。
カタリーナはフィリッポのパートナーでドイツ出身だが、もうすっかりシチリアになじんでいる。

車で少し行ったところにあるオレンジ畑。広いが、4月はもう時期的には最後の方でオレンジよりも緑の方が濃い。

なんとなくみんな散らばって作業を始める。初めてなのでフィリッポにやり方を教えてもらった。

オレンジは、一定の大きさ以上のものを採らないといけない。専用の刃が少し湾曲したニッパーでヘタの少し上を切り、傷がつかないようにそっと、カゴに入れてゆく。ノドが乾いたら、適当に熟れているのをむさぼる。何種類かあるので食べ比べるのも楽しい。

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オレンジで一杯になったカゴは結構重いので、二人組でピックアップトラックに積みいれてゆく。

その日のノルマを終えたところで、家に戻って、みんなで料理や食卓の準備をして昼食。

春の晴れた日。昼食は、家の外で食べるのがよい。
この家にはバルコニーというか、庭の部分に屋根が張り出していて、ここで今日は食べた。食卓には必ずテーブルクロスを敷く。そんなに洗わないので、パンくずも付いていれば、ワインの染みもあるが、あんまり気にならないのはこの乾いた気候のせいだろうか?

料理はアイデアがある人が担当する感じ。パスタもあるが、意外とこの家ではライスが多かった。リゾットとかね。

まだこの家の生活リズムや、役割分担に慣れていない僕はウロウロとできることを探していた。何もしないのも気まずいから。でも後にだんだんとわかってきた、無理に何か働く必要はないんだということを。

食事は各々がそれぞれのタイミングで食べ始める。パンとか勝手に切って食べ始める。

フィリッポは意外に料理上手で、彼の作るアボガドディップは天下一品だった。ニンニクと小ネギ、ピリッと唐辛子が効いている。それをメインディッシュの前に、パン切れにつけて食べるのが至福だった。そもそもシチリアでは、アボガドが採れる。木の上で熟したアボガド。日本や、他の北ヨーロッパで食べるアボガドとは、一味もふた味も違って濃厚だった。

そして食後は、決まって、エスプレッソを一杯。マシンではなく、パーコレーターで淹れてみんなに注ぎ分ける。どの家も大小様々のパーコレーターがある。雑な味だが、それがまた良い。

食後にゆっくりと休んだら、家の畑作業だった。