農的ジプシー

農的ジプシー生活のあれこれ

春のシチリア、オレンジ畑

ヨーロッパの春は本当に気持ちがよい。シチリアの春もまた気持ち良かった。

朝は、オレンジの収穫をしていた。フィリッポ、カタリーナ、ファビオ、チャングの4人と。
フィリッポはずんぐりして浅黒い、まさにシチリアの農民といった感じの男。
カタリーナはフィリッポのパートナーでドイツ出身だが、もうすっかりシチリアになじんでいる。

車で少し行ったところにあるオレンジ畑。広いが、4月はもう時期的には最後の方でオレンジよりも緑の方が濃い。

なんとなくみんな散らばって作業を始める。初めてなのでフィリッポにやり方を教えてもらった。

オレンジは、一定の大きさ以上のものを採らないといけない。専用の刃が少し湾曲したニッパーでヘタの少し上を切り、傷がつかないようにそっと、カゴに入れてゆく。ノドが乾いたら、適当に熟れているのをむさぼる。何種類かあるので食べ比べるのも楽しい。

f:id:tektekt:20200215235125j:plain

オレンジで一杯になったカゴは結構重いので、二人組でピックアップトラックに積みいれてゆく。

その日のノルマを終えたところで、家に戻って、みんなで料理や食卓の準備をして昼食。

春の晴れた日。昼食は、家の外で食べるのがよい。
この家にはバルコニーというか、庭の部分に屋根が張り出していて、ここで今日は食べた。食卓には必ずテーブルクロスを敷く。そんなに洗わないので、パンくずも付いていれば、ワインの染みもあるが、あんまり気にならないのはこの乾いた気候のせいだろうか?

料理はアイデアがある人が担当する感じ。パスタもあるが、意外とこの家ではライスが多かった。リゾットとかね。

まだこの家の生活リズムや、役割分担に慣れていない僕はウロウロとできることを探していた。何もしないのも気まずいから。でも後にだんだんとわかってきた、無理に何か働く必要はないんだということを。

食事は各々がそれぞれのタイミングで食べ始める。パンとか勝手に切って食べ始める。

フィリッポは意外に料理上手で、彼の作るアボガドディップは天下一品だった。ニンニクと小ネギ、ピリッと唐辛子が効いている。それをメインディッシュの前に、パン切れにつけて食べるのが至福だった。そもそもシチリアでは、アボガドが採れる。木の上で熟したアボガド。日本や、他の北ヨーロッパで食べるアボガドとは、一味もふた味も違って濃厚だった。

そして食後は、決まって、エスプレッソを一杯。マシンではなく、パーコレーターで淹れてみんなに注ぎ分ける。どの家も大小様々のパーコレーターがある。雑な味だが、それがまた良い。

食後にゆっくりと休んだら、家の畑作業だった。

フェンネルとオレンジ

フェンネルという植物がある。

日本では香辛料としては知られているかな?

フェンネルシードと呼ばれる種である。

 

ヨーロッパでは野菜としてもなじみが深い。

ワサワサした葉っぱなのだが主に白い茎と根っこの部分を食べる。

だから売られているものはたいてい葉っぱは落とされている。

細長い玉ねぎのようだ。

 

フェンネルは香草なので香りがものすごく強い。

柑橘系のくせのある香りである。

 

これをイタリア人は畑で育てるのだが、

畑のわきには野生種が自生しているという不思議な感じがイタリアだ。

そして野生種もパスタで食べたりする。

 

 

さてシチリアと言えばレモンだが、

オレンジも色々な種類があって有名である。

 

イタリアで僕が感動したレシピがある。

 

フェンネルを生でざく切りにして、オレンジの輪切りとオリーブオイル、塩で和えて、

サラダとして食べるのだ。

これが何とも絶妙な組み合わせで美味しかった。

そしてなんともシチリアっぽいではないか!

 

 

 

 

ゲストではない?

「どこに泊まっても良いよ」

そう言ってホストのニラブに見せられた部屋はどれも汚かった。

 

前の人が使ったシーツまでそのまま。

洗面台には汚れた食器、ドアの外には犬のフン、ネズミの死骸。

 

普通ゲストを迎える側は部屋の掃除ぐらいしとくもんでしょ。

 

こんな僕の常識なんてここシチリアでは通用しない。

いや常識なんてだいたい一方的なものだ。

ウーファーなんてゲストですらないかもしれない。

 

自分の部屋くらい自分で用意するのが当たり前と考えることもできる。

 

とりあえずホストの住む母屋とは別棟の、

トイレ付きの部屋を選んだ。

 

2時間くらい掃除をすればそれなりに綺麗になった。

もとの造りはなかなかオシャレ。

天井は竹が並べてあり、鎧戸は木製である。

 

 

シチリアへ

プーリア 州で2週間のWWOOFを終え、少しだけローマを観光した後、

我々は南国シチリア半島へ向かう。

飛行機で東海岸カターニア空港に降り立った。

 

飛行機の窓からずっと見えている、エトナ山(3329m)はシチリアの顔。

雪を頂いた姿はどこか富士山を思わせる。

ヨーロッパの神話にもたびたび登場する由緒ある火山だ。

 

ここから2週間働くのは、レモンやオレンジ、アボガドを生産している農家。

パテルノという小さな駅からさらに車で20分ほどの所にある。

ここは何人ものウーファーを同時に受け入れていた。

この時いたのは、3人のイタリア人。そしてドイツ、フランス一人づつ。

WWOOFしているだけあって、それぞれ皆面白い人たちだった。

 

そしてホストのニラブは、

この旅で出会った人の中でも屈指の、

強烈な個性の持ち主だった。

 

 

ヒッピーというか、何なんだ?

チャオ、

イタリアでこの記事を書いている。

 

今日はワイン用のぶどうの樹を手入れした。

枯れ木のような枝の先端には、よく見ないとわからないが、

新しい枝の蕾がある。

いまの感じではとても秋に収穫できるようには見えないのに。

植物の成長はスゲーな。

 

 

さてまたロンドンでの話をしよう。

 

ヨーロッパの街には、どんなに都会であっても憩いの場がある。

公園だ。

公園といっても遊具があったり、おじおばさんがゲートボールするようなイメージではなく、例えば代々木公園のようなかんじかな、東京でいえば。

そういう大きな公園が何ヶ所もあったりする。

ぼくはサンドイッチとコーヒーかビールを持って、ゆったりしに行くのが好きだ。

 

そんな公園がロンドンにも、いくつもある。

でも今回は行かなかった。

寒いから。

 

なんやねん、

でももっとニッチなところを観光がてらに攻めたのである。

その名も、

ノマディック・コミュニティ・ガーデン(Nomadic Community Garden)。

 

僕らはアーバンファーム(都市農業)に興味があってロンドンでも探して見た。

屋上農園とかそういうのである。

 

そしてネット上で見つけたここを訪れてみた。

といってもよく調べて行った訳ではなく、

いくつかめぼしい所をグーグルマップ上にピンで印をつけていて、

たまたま何かのついでにそこが近いということになって行ったのだ。

 

 

最寄りの駅で電車を降りて、線路沿いにあるそこに歩いて行った。

町の雰囲気は若者タウンで、だぼだぼズボンやジャラジャラアクセサリーの店、

クラブが多い。壁には一面にスプレー画。

観光でくる人は少なそう。

 

さてガーデンに向かう高架下では、まさに今

、若者が何人かでスプレーペイントしていた。

ゴミだらけのあたりにはシンナー臭が漂う。

 

ああそういう感じか。

 

「帰ろうか」

 と僕が言い、チャングも不安げだった。

 

だがせっかく来たのだから一目だけでもとガーデンに入った。

 

んー、どう形容すればよいか、

植物とDIYと前衛アートとガラクタが混ざったような空間。

都会のすきま。

そう遠くないところには都心のビル群がみえる。

 

よく知らないがヒッピーのような?

 

こういうものを見慣れていない僕は臆してしまう。

お世辞にもセンス良くも居心地よくもない。

 

でもどこかで子供達の笑い声が聞こえるし、

ソファーでのんびりと語らっている男女もいる。

掘っ建て小屋のアトリエでなにか制作してるような人。

天気が良いこともあってのどかな感じもする。

 

浸かってしまえば自由で気持ち良いかもしれない。

コミュニティってそういうものなのかな。

 

スプレーアートだって、そればかり見ていると、

良し悪しがわかってきて楽しかったりするのかも。

 

自分が不慣れでよく認識できないものを、

趣味が悪いとかで片付けてしまいがちだが、

世界を狭めているだけなんだろうな、

とか思った。

 

とにかくどんな形であれ、人が自分で自分の生活を形作ろうとする、

自分の食べものを育てている、

そんな光景をもっと見たいものだ。

 

ヒッピーでも、オシャレなオーガニックでもなんでもいい。

 

 

 

さてその近くにはもうひとつガーデンがあった。

 

スピタルフィールズ・シティファーム(Spitalfields City Farm)

 

ガーデンというかファームだ。

ヤギ、ろば、ニワトリ、羊などの動物もいる。

そしてあのクニクニ豚もいた。

イギリスには結構いるのか?

 

こちらも市民に開放されているが、より社会的な感じだ。

こぎれいで、ルールがしっかりあり、

普通の家族づれが動物とふれあいに来たりしている。

スタッフも何人かいて、ボランティアもいるようだし、

経営はしっかりまわっているよう。

 

 

何がこの印象の違いを生むのだろうか?

 

でもそんな性格の異なる2つのガーデンが隣接しているのは豊かだな。

この都市のゆとりを感じる。

 

というわけで、大都会ロンドンの、

観光視点とは別の一面を見ることができた。

 

そんな午後。

ミュージアムの楽しみ方

現在はイタリア滞在中。

今日は、夜ホストファミリーに日本食を振る舞う日でした。

巻き寿司、イタリア米のシャリがパラパラ過ぎてテンパった。うまく切れないの。

でもなんとか。みんな喜んでくれて嬉しかった。

 

いつもはマンマの美味しいイタリアンを食べさせてもらってます。

ありがとう、アッレ、ティーナ。

 

 

 

さてロンドン観光のことをもう少し書こう。

 

観光と言えば、ミュージアム

 

日本語では、美術館や博物館というがお堅いイメージだ。

 

うってかわって、ヨーロッパではポピュラー。

ロンドンなんて、無料で大英博物館をはじめ、超ド級ミュージアムが見放題なのです。

世界各国の旅行者はもちろん、地元の家族連れもいれば、学生が彫刻をスケッチしていたり。

 

観光のプランを練るうえではどうしても、

あそこも行こう、ここも行こう、となってしまう。

 

でも正直そんなにたくさんは見れないです。

世界中から集められた名品珍品を無秩序に見てまわるのは体力をつかいます。

博物館1つでもお腹いっぱいになってしまう。

 

そんなときにはミュージアムカフェに行ってみるのもいい。

雰囲気が素敵なところが多いし、客層も落ち着いている。

建築自体を感じるにもうってつけだ。

 

今回は、サウスロンドンギャラリーとV.Aミュージアムに最初からカフェ目当てで行った。

サウスロンドンギャラリーはご飯が美味しいらしく、

V.Aは一度行ったチャングが絶賛していた。

 

そもそもチャングなのだ。ミュージアムカフェが大好きなのは。

その彼女が「今までで一番良かった」と言っているのが、V.Aである。

 

 

だがサウスロンドンギャラリーは、微妙だった。

その日がそもそもあまり運のよくない日だったのだが、

食事はたいして美味しくなかった。

 

チャングが選んだサラダランチは、見かけがジャコ飯のような、そして味も魚介系の、期待外れのボール球。

僕のスープは、トマト味だったが塩分が濃く、パスタのソースだけ食べるような代物だった。

コーヒーも飲まずに、少しだけ展示を見て去った。

 

一方のV.Aミュージアムのカフェはやはり良かった。

座ったのは豪華な装飾と照明のある広間だが、左隣にはウィリアム・モリスの広間もある。そこも落ち着いた良い感じだが、今回は僕がはじめてだったので豪華な方を選んだ。

 

そこでイギリスで初めての本場のスコーンを食べた。

スコーンは好きで、自分で作ることもあるのだが、

本場のはデカイなというかんじだった。

バターといちごジャムの小瓶が付いてくる。

 

その後20分くらいだけ展示を見た。

というのはもう夕方で閉館間近だったから。

 

ここも広いのだが、

装飾美術という一貫した柱があるので、見やすく、

またゆっくり来たいなと思える場所であった。

 

さてロンドンのミュージアムカフェはこんな感じであった。

次はどこかな?

ロンドン 都会のオーガニックカフェ

 3/8 金曜

ロンドン滞在 初日

 

 

夜は熟睡できなかった。

カーテンが薄く、夜明かりが入ってくるのが原因。

冷蔵庫や、そして給湯器の音もうるさかった。

隣の共用シャワーの給湯器がなぜかこの部屋にあったから。

 

朝は近所のスーパーでカッテージチーズとパンを買った。

イタリア系のスーパーかな。

よくわからないがロンドンにはイタリア系の移民もいるようだ。

 

僕らの安いアパートホテルの周りはほかにも、インドやイスラムのエキゾチックなスーパーや食堂であふれている。East Hamという地区。

懐かしいインドの香辛料の匂いが漂う。

いまだにそれが何なのかはわからないが、懐かしいと感じる匂いなのだ。

 

 

 

パンは酸味があって美味しかった。

日本ではなかなか食べることのない全粒粉のパン。

これにカッテージチーズとはちみつをかけて食べると絶妙にうまい。

 

ただこのパンは、切る時にぼろぼろになるのが難点で、縦型のトースターでは焼きにくかった。

 

 

さて、僕たちは「オーガニック」というワードに興味がある。

そこでこの日はチャングが探したロンドンのオーガニックカフェに行って見た。

ファームスタンドという店。

 

店は賑わっていた。

ヨーロッパは日本よりもオーガニックが社会に浸透している、とは言ってもちょっと意識の高い人が多そうだ。

 

メニューは主菜1品と副菜2品をカウンターで選ぶシステム。

 

 

とここまで書いて、僕は食べたものを記憶するのが苦手だし描写もできない。

僕が選んだのは、スパイシーなよく似た色の3品だったということ。言えるのは。

こういうカフェで選ぶのは無理だ、いつも目移りして後悔しております。

 

 

こういう健康志向の食は自然とエキゾチックになることが多く、

しかもヨーロッパではアジアに目が向くことが多いようだ。

先進的でアルタナティブな人々はヨーガや禅などに興味を持ってることもあり、東洋を意識している。

 

東洋から来た僕としては、

おなじみの日本の豆腐や東南アジアのパクチー料理、インドカレーなどを、

「どうだ、ヘルシーだろ!」と差し出されてもなんだかなぁという感じがする。

 

食材にこだわったフィッシュアンドチップスなんかを食べてみたいものだ。

 

 

とあれこれいうが、とりあえず美味しかった。

 

僕は「オーガニック」をかかげるものが、果たしてどのくらい体に良いのかは知らないが、少なくとも食べて見て美味しいことは多いような気がする。

 食べさせる側と食べる側の意識が大事。